以下 「ドリームストーリー」の コンセプトストーリーです。

 

「夢をもう一度」

 

「専務。何かおかしくないか。うちの会社。」

「おかしいとは?・・・普通だと思いますが・・。」

「しかし以前のように活気がないし、なんか楽しくないと言う感じが全体的に広がっているような気がするのだが。」

「社長、気にしすぎですよ。売り上げが悪い訳ではないし、利益もそこそこあります。順調ですよ。」

「そうだよなぁ、専務。しかし創業の時のように、なんか張りがあるというか、バイタリティにあふれているというか、そういうものがないようだが。」

「私や社長のように創業の時からいる社員ばかりではないのですから、がむしゃらにやればいいというのではないですよ。会社が大きくなったという事ですよ。安定しています。」

「しかしな~。」

 

 最近自分の会社の行く末に不安を感じている。専務の言うように安定成長期に入ったのかもしれない。だが現実に生産性は落ちている。利益もそこそこ出ているのだが、100人弱という社員を抱えるようになってから、ピリッとしたものが感じられないのだ。自分的には、ちょっと不安だ。

 不安の原因を探るようにネットでいろいろ調べるようになった。人事の問題、製品管理、意思の疎通。何を検索してもそれなりの答えしか出てこない。当然だろう。ネットの中には俺の会社の事を詳しく説明しているところはない。うちの問題の答えがネットに書かれているはずはないのだ。俺の不安がわかるはずはない。解決は自分でしなければならない。

夢を持ち創業していた時はこんな不安はなかった。専務や常務も若かったし自分のやるべきことが見えていた。今はそれがない。その日暮らしという感じだ。利益を維持することに手いっぱい。他を考える余地がない。俺は「はぁ~」と大きくため息をついた。

 

「夢」で検索していると「ドリームストーリー」という文字が目に入った。何が夢物語だ。夢だけで食べていけるか!そんなことを思いながらページを覗いた。

『あなたの会社の夢を物語にします。100年を超えて存続する企業になるために、ドラマを語りましょう。』

100年企業?だからなんだと言うのだ。企業の寿命は長くて20年から30年と言われているんだぞ。簡単に100年などというな。夢物語を作ってドラマを語れば、生産性が上がると言うのか。いい加減なことを言いやがって。そう思いながらページをスクロールする。

『ドラマを語って思いを伝え、社員と夢の共有をしよう。』

ドラマを語るか。若い時は夢を持っていたな。常務も専務も、今の役員はみな創業の時の連中だ。夢を語って飲み明かした時もあったな。バイタリティに溢れていた。今はそれがない。だから不安があるのかな。物語ってどういうことなんだろう。ちょっと興味がわいてきた。

『オオノ経営労務事務所』中小企業診断士か。プロの診断士の推薦書きがある。何々、「数字で人は動きません。数字で経営者の思いは伝わりません。夢のストーリーが必要です。ドラマが必要です。物語で自分の思い、会社の行く末(未来)を社員やお客様と共有しましょう。」

夢とドラマか。社員とお客様にそれを共有させるのか。気になるな。とりあえずお気に入りにページを登録だ。

 

役員会の時だ。製品管理部長兼務の役員が引退をほのめかすようなことを言った。俺の息子の課長を製品管理部長に推薦したのだ。息子は製品をよく理解し、他社との差別化をうまく説明できていると言うのだ。近いうちに製品管理担当役員に育て上げたいらしい。息子を行く行くは社長にするとみなには伝えてあるが、時期は未定だ。部長にしてもいい時期だ。息子を部長に内定することにした。創業時代の者の引退が近いことを改めて認識した。

早々に息子を呼び製品管理部長に昇進することを伝えた。息子は、頑張る旨を役員たちに現わした。しかしもう一つピシッとしたところがない。やはりそれなりという感じだ。息子は、次期社長だという事がわかっているはずだが、物足らない。2代目が企業をつぶすことも多い。何とかしなくては。

社員には、責任を持たせて仕事にまい進させているのだが、息子ともども2代目世代はそれなりの仕事ばかりだ。夢も希望もないのか。夢と希望?どっかで見たフレーズだ。そうだネットで見た「ドリームストーリー」だ。「数字で思いは伝わりません」と書いてあったな。「ドリームストーリー」をチェックしよう。

「ドリームストーリー」のページに調査票が付いていた。色々項目があるが、意識調査みたいだ。若いころに考えていたようなことが思い出されてきた。会社の運営に追われてどこかで置き忘れてきたもの。バイタリティの根源のようなものが見え隠れする。調査票に記入するだけで何か期待感が沸きわくわくし始めた。これに即して2~3ページの物語にして送ってくれるそうだ。どんなドラマが語られるのだろうか。

 

送信!!。

 

調査票を送信した2日後に物語の粗筋のようなものが届いた。「思い違いや詳しく書いてほしいことなどを付け加えて下さい」と添え書きされている。製品の写真や社屋の写真などあれば送ってほしいとのこと。創業時に考えていた、作りたいもの、役立つこと、製品のこだわりや意気込み、仲間と語り合ったことなどを書き添えて送り返した。

 

一週間ほどで物語が届いた。妙にドキドキしながら読んでいる。タイトルは、『夢をもう一度』だ。創業のきっかけになるようなことも書いてあって面白い。意気込みも伝わり若い社員に知って欲しいことが解り易く書いてある。無くしたものも甦る。これはいい。さらさらと読める文で、3ページにまとめてあるので読むのに時間がかからない。役員にコピーを配ることにした。

「これ面白いですね~」専務が言った。

「以前社長が何かおかしいと言っていた原因がよくわかります。自分たちが思い描いていた様子がよく書けている。若い人に伝えなきゃならんことはこれだったんですね。」

「そうだな、社員全員に配布して読まそうと思う。」

製品管理担当役員が『夢をもう一度』を持ってやってきた。

「新任の製品管理部長に読ませたら、皆さんこんなことを考えていたんですね。と感慨深げでしたよ。」

「そうか、若い部長にも評判がいいか。早々、社員に配布だな。」

 

 夕食の時だ。息子が話しかけてきた。

「俺あんなことあまり考えていなかったよ。『夢をもう一度』の事だけど。親父の創業時代はなんか楽しそうだな。俺は会社のレールの上を走っているようなものだったから。色々考えてやってみるよ。その方が楽しそうだ。100年企業を。」

「100年というと孫の次だぞ。その頃には創業家以外が社長をやるかもしれん。夢とポリシーが必要だ。」

「わかっているよ。俺もドラマを作る」

 

 しばらくすると、社内の雰囲気が微妙に違ってきた。活気が出てきたような気がする。それに伴い100年企業という言葉が合言葉のようになってきている。「ドリームストーリー」のホームページにもあり『夢をもう一度』の中にも使われていた言葉だ。この言葉を聞く機会が増えるほどに生産性は向上してきた。その上、不具合やクレームも極端に減ってきた。社員が自分に何かを科したような様子だ。また、やることが早くなってきている。会社の血の巡りが良くなったというかいい調子だ。

 役員も、次の時代を見据えて、技術的な教育ばかりでなく理念やポリシーまで伝えようとしている。この会社、本当に100年後にも存続するかもしれない。息子も新規の提案をよく出すようになった。あんなペラペラの物語がこうも人と会社を変えるのか。

 

「ドリームストーリー」いいな。次は、お客様用や3ヶ月後に発売する新製品の物語を作ってもらうか。

 ちょっとうれしくなった今日この頃だ。

 

 夢を持ち続けたら、俺も100年生きられそうだ!!

 さあ・・生産現場で若い奴のイキイキした働きぶりを見て回ろう。

 

 

■この文面は「ドリームストーリー」をご利用いただいた企業さまの実例を基に、初めての方に分かりやすいようにストーリーにしたものです。